リニア 電磁場、エネルギー、環境影響、審議もなしで 建設決定? 中央新幹線小委員会「中間とりまとめ」 2010年3月から審議されてきた国土交通省の「中央新幹線小委員会」は12月に「中間とりまとめ」を公表した。 国交省「車両内変動磁界はない」 リニア・市民ネットは1月19日、国交省へこの1年間集めてきた「南アルプスにトンネルを掘らないでください」署名4946筆を省の担当者に手渡した。 また、12月に中央新幹線小委員会がまとめた「中間とりまとめ」に対しての緊急声明、そして緊急提言も渡した。市民側の参加は川村代表、懸樋と日本消費者連盟の富山の3名、国交省は中橋宗一郎課長補佐、竹島晃課長補佐、鶴谷健太計画係長ら5名が並んだ。 財政問題では、もし計画が破綻しても国は一切お金を出さないのか、という質問に対して、「国は財政負担を一切しない。もし建設途中で費用が足りなくなったりしたら、JR東海は建設をやめるまでだと言っている。」 とのことだ。 電力消費量についても回答なし。地方の衰退などについてはかなり議論になったが、平行線だった。 |
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リニア中央新幹線に関する「中間とりまとめ」に対する 「リニア・市民ネット」代表 川村晃生 12月15日にリニア中央新幹線に関して、国土交通省が諮問する中央新幹線小委員会による「中間とりまとめ」が発表された。その内容は一瞥して分かるように、事業主体となるであろうJR東海の説明をほとんど丸呑みしたもので、多角的に検討、審議されたものとは言い難いものである。そこでとりあえず「とりまとめ」の課題について摘記し、今後の真摯な議論を期待する次第である。 まず「とりまとめ」は、何ら国際的・客観的な技術評価も行うことなく、リニアがすぐれた技術で推進すべきものという考え方が前提になっており、その高速性だけが評価されて、負の部分については全くと言ってよいほど論議されていない。リニアが地域振興に寄与することが強調されているが、今求められているのは単なる希望的観測ではなく、確たる実現である。現に事業者はそうした考えには否定的な姿勢を審議会の場でも表明しており、「とりまとめ」に疑義を持たざるを得ない。高度経済成長期以降の高速鉄道や高速道路が必ずしも地方への振興にほとんど寄与せず、ストロー効果によって地方の衰退さえ招いてきた部分をもっと重視すべきなのではないか。人口の約半分の6000万人から成る巨大な都市集積圏域が形成されることが、あたかもよいことであるかのように語られるが、そうした国土のいびつな利用形態がどのような負の側面を持っているのかは検討しなくてよいのか、疑問を呈せざるを得ない。 またリニアは地震時でも脱線現象を想定し得ぬので安全とされるが、地震発生時におけるガイドウェイの損傷によりどのような事態が発生するのか、さらに電磁波についてもデータが示されぬまま安全性をうたうが、本当に証拠ぬきの安全宣言をしてよいのか、技術上の問題もほとんど議論されていない。 次に建設費についても、大型開発事業が多くの場合当初予算の数倍の額を必要とするにもかかわらず、積算根拠も示されぬままJR東海のはじき出した5.1兆円等を可とし、それをオーバーした場合の対処については全く検討されていない点も不十分な議論であり、くわえて東海道新幹線の乗客数の頭打ちや減少、ないしは日本全体の人口減少を加味して、今後のJR東海の収支及び経営可能性を考えねばならないはずであるのに、そのことについては全く触れられていない。 さらに、自然環境に関しては、南アルプスに長大なトンネルを掘ることについて、その負の部分(生態系、地下水の涸渇化、残土処理など)は全く検討されず、環境保全は2次的問題であり、ただ適切な措置を実施するというのでは、何も議論していないに等しい。一方、エネルギー問題について一言も述べられていないのは、21世紀の社会を構想する上で致命的な欠陥である。 このように「とりまとめ」は具体性を欠き、ほとんど負のデータの検討もなく、財政、環境、安全性において空理空論を重ねたまま、その結果として導き出されたものであって、およそ検討、審議の名に値しないものと言わなければならない。また、これほど大規模かつ重大な公共的事業について国民の関心と理解があまりにも低い。情報公開と民意の尊重は民主的政策決定の基本である。従って委員会は今後、リニアの諸側面において否定的なまた負の要因を指摘する識者を招いて、それらに真摯に耳を傾け、冷静な判断を下すことが求められよう。 いずれ数ヵ月後に発表されるであろう最終答申においては、上記の諸課題を克服し、誰もが首肯できるような内容のものをとりまとめるよう要望し期待して、声明とする。 2010年1月19日 |