リニア・市民ネット リニアは夢の乗りものか〜リニア中央新幹線計画を問い直す
 
 
 

技術・エネルギー問題

  • リニアで過去に起こった事故はありますか?
  • 宮崎実験線や、ドイツでも走行実験中に大事故が起きました。

 1991年10月3日に、リニア宮崎実験線で車輌が全焼する事故が起こりました。そのため、今回のリニア中央新幹線においても、絶対安全が保障され、利用者からも信頼を得られるかは死活的な問題です。例としては、事故一揆でドイツのリニアも超高速機コンコルドも実現化しなかった事実を忘れてはなりません。

  • 時速500キロで走行するリニアは、緊急時や災害時にどのように停車できるのですか?
  • リニアは運転手のいない無人の乗り物です。リニアの加速、減速、停車は、直接的には変電所(送電線からの電量を、電力変換変電所で受電)を通じて行われます。

 このため、列車位置を知るために、列車に発信機をのせ、ガイドウェイに交差誘導線を張りめぐらせて、「中央指令所」にて列車位置信号を受信する仕組みを導入しています。そのため全線81%とほとんどがトンネルの中を走行するリニアは、災害時にもし発信器が故障や停電で発信できなくなったり、妨害電波があったり、受信の途中で故障、断線、停電などで信号が消えてしまうと、中央指令所では列車位置や速度が分からなくなり、制御できなくなってしまいます。

  • 都市部での大深度地下、長大山岳トンネル内における緊急停止、避難対策、技術対策は万全なのでしょうか?
  • 大深度地下というのは地震の影響を受けにくいと言われていますが、問題は地表部までの駅務室、通路、出口等に被害を受けた場合、運行に与える影響ははかり知れません。
  • 磁力で直線走行するリニアにとって、数ミリのガイドウェイの破損やズレは致命的です。

ガイドウェイ

・ 国土交通省の交通政策審議会におけるリニアの技術検討の公表では、火災については「トンネルの中で止まると大変であるので、必ず安全なところまでまず走るというのが基本」とのことです。そして、「万万が一トンネルの中で止まってしまった場合は、通路において安全に避難できるように」としています。また、「地震で停電しても電磁誘導作用により車輌の浮上状態を維持」「早期地震警報システムによる地震見地後、速やかに車輌にブレーキ作動」、「ガイドウェイの中を磁気に縛られて走っているので、基本的に脱線という概念がない」との情報です。

・ しかし、特に南アルプスを貫通するCルートにおいては、今後30年以内にマグニチュード8程度の東海地震が発生する確率が87%とされています。 全長20kmにも及ぶ長大山岳トンネルにおいて万が一地震が発生した場合、土砂崩れや活断層の影響等でガイドウェイがずれたり、破壊される、または推進案内用のコイルの位置が狂ってしまうことで、列車が異常な蛇行をしてガイドウェイに激突したり、脱線することはないのでしょうか。また、そういった状況下で果たして時速500キロで走行するリニアを安全に緊急停車し、南アルプス山中における通路、地上出口へと乗客を安全に避難させることができるのでしょうか? 

  • 地震によるガイドウェイに破損、故障があった場合、簡単に修理ができず、復旧に長時間を要します。

 ガイドウェイには、新幹線の6倍と膨大な建設費がかかりますが、地震などの際、修理するのも大変です。また、点検して運転再開をするにも時間を要します。こだま型の車両が停車する駅があると、この巨大なガイドウェイをポイント切り替えしなければなりません。新幹線なら数秒で済むこの切り替えが、30秒かかります。直線で数キロメートルの長さ(重さ340トン)のものを動かす必要があります。

  • JR東海のリニアは、どれほど電力を使用するのでしょうか。
  • 未発表のため明らかではありませんが、座席数、走行本数が新幹線と同じとして総電力容量は544万KWとなり、これは原発5基に相当する電力です。リニアの電力消費量は莫大です。
    (山梨県立大学の学長、伊藤洋氏はドイツの「トランスラピッド」の1両当たり10MW/50人、を基礎に試算)
  • リニアは在来の新幹線の3〜5倍の電力を必要とします。
     電力消費については、20年前1989年に朝日新聞紙上で論争がありました。元国鉄技師でリニアの提唱者であった川端俊夫氏は「新幹線の40倍」とし、その浪費構造を批判、これに対して鉄道総合技術研究所理事長の尾関雅則氏は「東京―大阪間のシステム設計では、新幹線の3倍を計画している」と反論しています。
  • 過剰なエネルギー浪費型の乗り物です。また建設中にかかる環境負荷も計り知れません。

・ リニアは浮上するために、できるだけ車体を軽くし、空気抵抗も減らしたい、ということで幅を小さくして設計しています。この通りに構造的に、または技術的にエネルギー消費量を減らせるとすれば、それは、新幹線の技術でもほとんど同様なはずであり、電力消費量が数倍であることに変わりはなく、いずれにしても過剰なエネルギー浪費です。

・ 東京電力は山梨リニア実験線の変電所等に送電するために、新潟県の柏崎刈羽原子力発電所から山梨県に超高圧100万ボルト送電線の鉄塔工事を進め、すでに新潟、群馬、長野、山梨にわたって数百基に及ぶ膨大な数の送電網が建設されています。これは大地震でストップする前のことですが、原発建設が猛反対に会う中で、リニアが電力需要の一つとして原発増設の理由とされました。

  • リニアのCO2の排出量はどれくらいでしょうか。
  • JR東海は、「CO2排出量で新幹線『のぞみ』の3倍で航空機の3分の1以下」というおおよそな言い方をしているのみです。

 現在の山梨リニア実験線での実践、あるいは実用線での計算等は、まったく公開されていません。また、審議会でも「Cルートは最短ルートであるため、CO2排出量は当然のこととして最も少なくなる」「地表をたくさん通るよりは(大深度地下利用で)少し通った方がよい。用地買収も少ないし環境の負荷も少ない」などと、そもそも原発増発や大規模な生態系破壊によるCO2排出量や影響等が議論さえされていません。リニアは「環境に優しい」という文句からはかけ離れたエネルギー浪費型の乗り物です。

<用語>

◆ガイドウェイ
・ リニアの場合、鉄輪鉄道の様なレールは使われず、レールはコンクリート製の枠です。その構造上、直線的なコースが要求されます。
・ リニアでは、車体に発信器をのせ、ガイドウェイに張りめぐらせた「交差誘導線」に対して、列車の位置を車体側から発信することで、「中央司令所」のコンピューターが列車の位置を知る仕組みになっています。列車の位置とスピードを知って「中央指令所」、「変電所」からそれに合わせた波形(位相・周波数・強度)の電流が送られます。

◆大深度地下利用
 リニア中央新幹線では、東京・名古屋・大阪の大都市圏を通るため、円滑な用地確保策として「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」(2001年4月施行)による大深度地下空間の利用(地下40m以深)が想定されています。

 
 
   
     
 
イラストの説明